腰椎椎間板ヘルニアに対する手術の詳細を説明をするにはどうしても、腰椎椎間板ヘルニアの分類を説明する必要があります。本題前に分類を紹介します。
 硬膜(馬尾を包んでいる神経膜)と椎間板の間に後縦靭帯(こうじゅうじんたい)という固い靭帯があります。この後縦靭帯をヘルニアが突き抜けているかどうかが一つのポイントになります。水平断面での分類で、後縦靭帯を越えていないタイプを靭帯下突出型(Subligamentous extrusion type)、後縦靭帯を越えてきたタイプを経靭帯突出型(Transligamentous extrusion type)、後縦靭帯を完全に越えたタイプを遊離脱出型(Sequestration type)と言います。
 靭帯下突出型、経靭帯突出型は椎間板と繋がっていますので、ヘルニアは椎間板のすぐ近くにあることになります。遊離脱出型は椎間板とは繋がっていませんので、ヘルニアは椎間板から離れた場所にあったりします。すると、前述の腰部脊柱管狭窄症の開窓術は椎間板を中心とした神経除圧手術となりますので、靭帯下突出型や経靭帯突出型のヘルニアで対応することになります。遊離脱出型ヘルニアであっても椎間板から近い所にあれば開窓術で対応できますが、椎間板からかなり離れている遊離脱出型ですと開窓術では対処できず、もっと背骨を削らないとないことになります。
 先述のブログで申し上げたようにヘルニアには自然吸収されるものがあります。遊離脱出型ヘルニア(後縦靭帯を越えたタイプ)は自然吸収される可能性があると言われています。そのため、遊離脱出型ヘルニアは神経症状が酷くなければ自然吸収を期待して薬やブロック注射などで何とか治療して手術を回避することがあります。
 では、また。