骨折
我々は日常的に転倒したり、捻ったり、ぶつけたりしています。体の強度を上回る力が加わると骨が折れてきます。不安定な骨折やズレている骨折は手術になります。一方、安定した骨折はギプスなどの保存療法になります。
脱臼
脱臼というのは関節の中で向かい合っている骨同士が外れてしまった状態です。引っ張って脱臼を戻すことを整復と言います。脱臼は時間が経つと整復が難しくなるので早目に整復した方が良いです。
肩関節の脱臼が多いですが、他に、指関節・肘関節の脱臼もあります通常、局所麻酔を掛けると整復できますが、どうしても整復できない場合は全身麻酔が必要になります。
肩の痛み
ある程度の年齢になると40肩、50肩などの俗称で呼ばれる肩関節周囲炎を発症してきます。肩関節の中で炎症が起きている状態です。原因の一つとして、腱板という肩の中にあるスジが傷んでることがあります。大半の方は痛み止めの薬、湿布、リハビリで良くなりますし、痛みが酷い場合は注射を打ちます。夜眠れないぐらいの痛み、肩が上がらない場合などの酷い症状が続く場合には病院に紹介します。
膝の痛み
ある程度の年齢層以上の方ですと、膝の痛みの大半は変形性膝関節症という疾患が原因となります。私達は歩いたり走ったりしますので歳を取るに従って膝関節の軟骨が傷んできます。大半の方は痛み止めの飲み薬、湿布、リハビリで良くなりますし、痛みがひどい場合はヒアルロン酸の関節内注射をします。これらで痛みが改善しない場合には、手術を考える必要があります。手術には関節鏡手術、骨切り術、人工関節置換術などがありますが、状態に応じて適切な手術法を選ぶことになります。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨が脆くなる病態で骨粗鬆症自体は無症状です。多くの方は骨折して初めて知ることになります。特に閉経後の女性で多いです。骨粗鬆症自体を完全に防ぐ事は出来ませんが、少しでも骨が脆くなる事を防ぐ事が重要です。牛乳を沢山飲んでカルシウムだけ取れば良いと言うものではありません。骨粗鬆症治療において、野菜、魚、肉、米などを無理なく万遍無く食べる事、ウォーキングなどの適度の運動、骨粗鬆症薬が重要です。
フレイル
フレイルという言葉をご存知でしょうか?加齢により身体と心の活力が低下した状態です。誰しもが若くて健康な頃があり、そして年齢を経るに従い徐々に体が衰えて、最終的に要介護状態になります。フレイルとは、健康状態と要介護状態の中間にある虚弱状態です。体重減少、疲労感、筋力握力低下、活動量低下、歩行速度低下の5項目中、3つ以上あるとフレイルとされています。フレイルには身体的な衰え、精神的な衰え、社会的な衰えがあり、これらは互いに関連しています。フレイルが悪化すると要介護状態になっていきますので、フレイルの悪化を防ぐ事が大切です。フレイルから要介護状態になる原因はたくさんありますが、認知症、骨折、関節痛などがあります。すなわち、骨粗鬆症治療、疼痛コントロールはフレイル悪化予防に繋がります。
手のしびれ
手のしびれで整形外科の病気は①手根管症候群、②肘部管症候群、③頚椎症性脊髄症の大きく3つがあります。①は手首、②は肘、③は首です。
手根管症候群
手関節にある靭帯(横手根靭帯)が年齢変化などで分厚くなり神経(正中神経)を押すことで発症してきます。親指と人差し指と中指が痺れることが多く、酷くなると親指の付け根にある筋肉(母指球筋)が瘦せてきて掴む動作がしにくくなります。軽症の内はしびれに対する薬(ビタミン剤など)で治療し、筋肉が痩せて悪化してくると手術が必要になる事があります。
肘部管症候群
肘にある骨(尺骨)が年齢変化などで変形し靭帯と併せて神経(尺骨神経)を押すことで発症してきます。小指と薬指が痺れることが多く、酷くなると手の背中側の筋肉(手内在筋)が痩せてきて指を左右に開く動作がしにくくなります。軽症の内はしびれに対する薬(ビタミン剤など)で治療し、筋肉が痩せて悪化してくると手術が必要になる事があります。
頚椎症性脊髄症
首の骨(頚椎)が年齢変化などで変形し神経(頚髄・神経根)を押すことで発症してきます。痺れの範囲は様々で肩から母指、手首から全部の指、薬指・小指などがあります。酷くなると手の動きが悪くなり、さらに酷くなると足がもつれるなどの歩行障害が出てくる可能性があります。軽症の内はしびれに対する薬(ビタミン剤など)で治療し、神経症状が悪化してくると手術が必要になる事があります。
腰痛
脊椎圧迫骨折
背骨に骨折が起きて腰痛がおきる事があります。背骨の骨折は骨粗鬆症によるものが大半で、尻餅をつく、重い物を持つなどの軽い外傷を契機として起きてきます。高齢者に起きる骨折の大半は圧迫骨折と言います。脊椎は首の骨(頚椎)、背中の骨(胸椎)、腰の骨(腰椎)、お尻の骨(仙骨)からなります。骨折した場所によって、胸椎か腰椎かが決まります。治療は安静、痛み止め、コルセット、リハビリテーションといった保存療法が中心となります。骨がくっついてこない(偽関節)場合には、手術が必要になる事があります。
坐骨神経痛
下肢に響くビリビリした様な痛み・しびれの総称です。原因で多いのが腰椎からの神経痛です。神経痛を起こす腰椎疾患で多いのが腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアです。
腰部脊柱管狭窄症
年を取ることで、腰の骨の変形と骨の裏にある黄色靭帯が厚くなり、両者が神経を圧迫して坐骨神経痛を起こします。高齢化社会となり近年非常に多い病気です。酷くなってくると歩くのが大変になったり足が動かなくなったりします。最も酷くなると排尿が出来なくなります。軽症ですと痛み止めの薬、湿布、神経痛薬、神経ブロック注射で治療可能ですが、悪化してくると手術になる事がありますので、病院に紹介します。
腰椎椎間板ヘルニア
一度は耳にした事のある病気と思います。腰に椎間板(腰のクッション)が出っ張り神経を圧迫することで起きる病気です。腰部脊柱管狭窄症と同じく坐骨神経痛を起こします。症状が酷くなってくると、痛くて歩けなくなってきたり、足が動かなくなってきます(筋力低下)。最も酷くなると排尿が出来なくなります(排尿障害)。腰椎椎間板ヘルニアは自然経過で小さくなる事があるため、基本的には痛み止めの薬、湿布、神経痛薬、神経ブロック注射、リハビリによる保存治療になります。最初激痛でも経過中に良くなる方がいらっしゃいます。ただし、足が動かない、排尿しにくいなどの重篤な神経障害で手術が必要と思われ場合は病院に紹介します。
仙腸関節性疼痛
腰の下に仙骨という骨盤の骨があります。仙骨はさらに隣の腸骨という骨盤の骨と仙腸関節を介して繋がっています。この仙腸関節は強力な靭帯で連結しており多少のことではびくともしませんが、スポーツなどの繰り返される外力で同部が痛くなる事があります。基本的に安静、投薬による治療で良くなる事が殆どです。痛みが強い場合には注射をします。