小児骨折の中で自家矯正力が働かない例外があります。それは肘の骨折で上腕骨顆上骨折です。鉄棒や雲梯などの遊具から落ちてその際に地面との衝突を防ぐために反射的に肘を伸ばした状態で手をついて体を守ります。その時の衝撃で肘が折れてきます。
図のように肘を伸ばした状態では尺骨の先端(肘頭)が上腕骨の肘頭窩に嵌ります。肘を伸ばした状態で手を付いて外力が加わると、テコの原理で肘頭窩が骨折してきます。これが小児上腕骨顆上骨折が起きてくる機序とされています。
上腕骨顆上骨折のズレが酷いとギプス固定をしてしまうとずれたままくっつくことになるため(変形治癒)、手術になります。また、最初ズレていなくても1週間後のレントゲン写真でズレてくることがあります。その場合も手術になります。
では、また。